記憶の仕組み

記憶 覚えること-覚え続けること-思い出すこと

私たちの生活の中で記憶について意識する場面はほとんどない。

ときたま、昔知っていたはずの歌が思い出せないとか、携帯電話の充電器の置き場所を忘れたとかで、自分の記憶力を意識するだけだ。

普段は無意識に使っている記憶の能力ではあるが、例えば玄関の鍵の置き場所を忘れたら大変なことになるから重要な能力であることは理解してもらえるだろう。

このように記憶は私たちの生活に欠かせないものになっている。

記憶の仕組み

記憶は、記銘、保持、想起の3つの操作から成り立つ過程である。

  1. 記銘:覚えること
  2. 保持:覚え続けること
  3. 想起:思い出すこと

記憶の情報処理モデル

現代の認知心理学では、人の記憶過程を情報処理システムに例えて説明する。つまり、人を1つの情報処理システムと考えて記憶過程をモデル化する。

それによれば人間の記憶システムは次の3つに分類される。

  1. 感覚記憶:外部から体に取り込まれた情報
  2. 短期記憶:意味を持つ情報
  3. 長期記憶:他の知識と関連付けされた情報

記憶を処理する流れ

感覚記憶での情報処理:私たちが外界から受ける情報は、目や耳などの感覚器官から体の中に取り入れられ、まず感覚記憶に保持される。

その保持時間は短くて視覚刺激(目から)で1秒以内、聴覚刺激(耳から)で数秒以内といわれている。感覚記憶からは、必要な情報がパターン認識を受けた後に短期記憶へと送られる。

パターン認識とは、例えば目で見た(A)という形が記憶の中の(アルファベットのA)であると認識される事で、単なる刺激が記憶と関連付けられることで意味を持つ作業。


短期記憶での情報処理:送られてきた情報は、短期記憶に数秒から数分程度保持される。

忘れる前に思い起こす作業(これをリハーサルという)を行う事により記憶は保持されるが、更に長期の保存が必要とされる情報は長期記憶へと送られる。

作動記憶:ある情報が短期記憶から長期記憶へ送られる際、単に送るのではなく、送るべき情報が他の記憶に関連付けられてから送られると考えられている。


長期記憶での情報処理:長期記憶に貯蔵された情報は半永久的に保持されると考えられている。つまり「覚えた」状態である。

必要な情報は検索され、短期記憶へ送り返されて『思い出す』事が出来る。長期記憶は記憶の質に着目することで手続き的記憶と宣言的記憶に分けられる

手続き的記憶:技能に関することで、『計算の仕方』の様な言葉で表現する事が出来ないもの。

例:『自転車の乗り方』 『凧の上げ方』 『歌い方』 『踊り方』

宣言的記憶:言語化が可能な記憶。勉強とかの知識をいい、更に「エピソード記憶」と「意味記憶」に分けられる。

  • エピソード記憶
    何かの出来事がが一体となって記憶され、時間的な流れもある。
    例:「昨日は渋谷で洋服を買ったあと映画を観た」
  • 意味記憶
    計算や「ミカンはくだもの」のような定義。
    例:1+1=2

肉体的な知識

脳の中で記憶で使用される領域は短期記憶と長期記憶とでは異なることが研究で明らかになってきている。つまり、記憶された情報は脳の中で転送されているという興味深い現象が分かった。

  • 短期記憶:海馬(大脳辺縁系にある)
  • 長期記憶:側頭葉(大脳新皮質にある)

この項 ここまで